その2.パッシブデザインは、人工的なエネルギーを消費しなくて済むから。
私たちがパッシブデザインにこだわる2つ目の理由は「省エネルギー=人工的なエネルギーを浪費しないこと」につながるからです。家づくりを担う立場にあるものとして、そんなパッシブデザインを追求し、実現していきたいと考えています。
すべての家には太陽の光が当たり、周りには風が吹いています。その大小には違いがありますが、それは事実です。それを利用するのがパッシブデザインであり、当然ながらそれをうまく利用して心地よさを生み出すほど、人工的なエネルギー(電気、ガス、灯油)を使わなくて済むようになります。
太陽の光を利用するという意味では、太陽光発電も同じです。太陽光発電は優れた技術ですし、どんどん普及していけばいいなぁと思っていますが、太陽光発電は心地よさを生み出す装置ではありません。ただの発電装置です。ここが心地よさを生み出すパッシブデザインと大きく違うところです。そういう意味では太陽熱給湯も、効率のよいエアコンもLEDも、すべて省エネには大事なものですが、やはり心地よさを生み出すことはできません。
だからまずはパッシブデザインをしっかり考え、そのあとに設備のことを考えるのがどう考えても正しいと思います。素直に考えれば、誰でもそう思うはずです。
大規模な風力発電やメガソーラーといった自然エネルギーで発電する技術が大きな注目を集めています。原発に頼らない会社をつくるためにも、やはりこうした技術が普及していくべきだと思います。でも、そんな大きな発電設備をどこか遠くのほうでつくって、わざわざ電線を使って家に運んでくるよりも、まずは自分の家の周りにある自然エネルギーを活用したほうがどう考えても賢いと思いませんか?
そして大規模な自然エネルギーの発電設備のことは、国などに「がんばって広げて」と言うしかありませんが、パッシブデザインなら、誰でもが実現可能です。私たちは家づくりのプロとして、パッシブデザインを実現できるお手伝いをしたいなぁと思っているわけです。